
連休中に下駄箱と座卓をお納めしてきました。
8年半前にお父様が当店にてご購入いただいた杉一枚板座卓をご子息が「座椅子と共に使うので高さを変えてほしい」との事でお電話いただいたのがきっかけでした。
久方ぶりにお宅にお邪魔したところ、「玄関に設置してある下駄箱も新しいものに変えたい」との事でその場でおおよその寸法を測りご提案をさせていただきました。
ちなみに今までお使いだった下駄箱は↓こちら。
和風の玄関にはそぐわないという事でずっと気になっていたそうです。
そこで当店が提案・製作した下駄箱が↓こちらです。
天板に長さ2mを超える杉の一枚板を使い、格子の無い4枚引き戸でスッキリとしたデザインにまとめました。
杉の柔らかい木目がよく映える作りです。
当店では下駄箱の一端を玄関のあがりに載せ、他方は土間から脚で支える設置方法が多いのですが、
今回は玄関がとても広い事からお客様と相談して土間に丸ごと設置する方式にしました。
下駄箱自体がかなり大きい為、中央部でも脚で支えています。
そして、今回のきっかけとなった座卓の高さ変更。
お納めした当時の写真は残っていませんでしたので、工房にお預かりした時の写真がこちら↓
ご相談時、S様は「ボルトか何かで固定されてるのを外して取り換えるだけで済むのかと思った」と仰っていましたが、
基本的に当店家具は、殊に座卓に関しては容易に取り外しができない木組みで製作されています。
ですので誠に残念ではありますが、天板を傷つけないように脚部のみ切断し、ご希望の高さになるように新たに脚部を製作して接合という手順を踏まえることになります。
↑いい脚してるんですけどね…
そんなこんなで新しい脚に付け替えました。
新しい脚は「高野杉」と言う目の細かい良材です。↓
今回の改造では天板上面は何も加工していません。
つまり最初の納品後から手を加えずに8年半経った姿です。
特別にお手入れをしているようでもなく、使用感もそれなりにありましたが
大きなダメージもなく、経年変化で艶が増していました。
残念ながらお父様はお亡くなりになられたそうですが、ご子息が受け継いでこれからも大切に使っていただけそうです。
いつもありがとうございます。
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と、これだけでは終わらず。
後日ご来店頂き、玄関に置く椅子の代わりにと総ケヤキのアートベンチをお買い上げいただきました。
当店調整後、後日お持ち帰りいただくとの事で納品時の写真は撮れませんが、工房にて撮影したものを掲載しておきますね。
複雑な杢を持つケヤキを削り出し、2人掛けのベンチにしてあります。
座面は実際に座ってみて座り心地を確かめながら削り出し…を繰り返しながらの製作でした。
背面からの写真です。
様々な角度から見て楽しめるように背面には白太部分を少し残し前面とは違った印象を持たせてあります。
灰褐色の白太が輝いて見えますね。
脚部も一本一本削り出し、柔らかなカーブを描くように製作しました。
この手の作品はありきたりな材を使って作っても仕上がりが面白くないので、
「これぞ!」と思うような材が揃わないと製作しません。
ですので作るのは何年かに1回か2回程度となってしまいます。
なので、出会って気に入って頂いてお買い上げいただくという事は
いろんなめぐり合わせが重なっての事なので本当に有難いことだと思いますね。