
今回は飾り棚付きの箪笥のご紹介です。
気に入った着物を収納する桐たんすをお探しだったM様。
当店の事は以前からよくご存じでしたので最初は桐たんすを製作してほしいというご依頼でした。
正直なところ当店はあまり桐の取り扱いはなく、桐たんす専門店でのご購入をお勧めしていたのですが、
・既製品の桐たんすは本格的なものを探すと結構な金額になる割にみな似たようなデザインである事
・いかにも桐たんすというものではなく、当店のセンスで製作した飾り棚のような箪笥が欲しい
という事で、着物を収納する引き出し部分のみ桐材を用いて他は杉の無垢板を使用した飾り棚付きの箪笥を製作させていただく事になりました。
なるべくたくさんの収納ができる方が良いとのご希望だったのですが、設置場所が2階である事とやや複雑な搬入経路の都合上、
事前に現地確認させていただいて、上下2段構成にすることや搬入時の向きなど細かくシミュレーションしたうえでサイズ決定いたしました。
ほぼ真ん中で飾り棚(上部)と箪笥(下部)に分かれています。
飾り棚の戸棚部分の引き戸アップです。
細かく複雑な木目の板を選んで鏡板に採用しています。
引き戸を開けると取り外し可能な棚板が見えます。
高さがあるものを収納する場合はこの棚板を取り外します。
棚板は左右1枚ずつ独立しています。
飾り棚の開口部分は節目がある材を取り入れています。
中央の仕切り板は表皮の部分を見せて自然木の味わいを前面に出しています。
開口部分の棚板も取り外し可能です。
取り外しが簡単なダボ金具の上に乗せるタイプで実用も兼ねています。
続いて下段の箪笥部分。
こちらは開き扉があり、かっちり作る必要があるため遊べる要素が少ないのですが、
扉の取っ手を自然木の枝を削り出したもので製作し、ワンポイントとしました。
扉を開いたところ。
中は桐材を用いた深めの引き出しが並んでいます。
通常着物を収納する引き出しは浅いものが多いのですが、
お客様からのご要望と、浅い引き出しをたくさん作ると実際の収納容積が著しく小さくなってしまう事から
このスタイルに落ち着きました。
正面から。各部展開した姿です。
「少々手間がかかっても構わない」というお客様の声は製作する方からすれば
それに見合ういいものを作らなければならないというある意味プレッシャーではあるのですが、
どうにかカタチになりました。
納品時まで気に入っていただけるかドキドキものでしたが、
大変喜んでいただきました。
製作期間は約1月半。
長らくお待たせいたしました。
いつもありがとうございます。